「若乃花」を芸名に使えない理由。相撲の伝統的な四股名「止め名」「出世名」とは?:3ページ目
あの「雷電為右衛門」も?「止め名」
そんな「出世名」に相当するような名力士の四股名であっても、様々な事情により慣例として襲名できなくなっている場合があります。これを「止め名」と言います。
例えば現在の貴乃花親方は、大関昇進に伴い、父で師匠でもある「貴ノ花」の四股名を襲名しました。しかしその後、貴乃花が引退して一代年寄となったために、以後他の力士が「貴乃花(貴ノ花)」を襲名することはできなくなっています。
また「出羽海」 のように、現在年寄名跡となっている四股名も、日本相撲協会の規約によって使用できない決まりとなっています。「雷電」「栃木山」「双葉山」など、現役時代に非常に大きな実績を残した力士の四股名についても、「止め名」とされています。
これらは明文化こそされていませんが、「素晴らしい力士の四股名は恐れ多くて名乗れない」ということに基づく暗黙の決まりです。一方で、「不祥事」などの事情があって引退した力士の四股名も、おそらく名乗りたがる力士が現れないであろうことから、事実上「止め名」の状態になると見られています。
相撲の世界にも、野球の「永久欠番」のような慣例があったのですね。