[お江戸小説] ココロサク【7話】溢れそうな想い!?:2ページ目
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「いらっしゃいませ、何になさいますか」
「おりんちゃん、お茶ちょうだーい」
「今日のお菓子は、なんだい?」
四方八方からお客さんの声が飛び交うもんだから、看板娘としてはテキパキと接客しないといけないわけで、大忙し。ひっきりなしに動き回っていたけれど、夕方近くになりようやくお客さんも少なくなってきた感じ。
「もうすぐ川開きじゃねぇか。今年も花火が待ち遠しいねぇ」
「おまえさんの楽しみは、盛り場で呑むことじゃねえのか(笑)」
「花火を観ながらっていうのが、酒もいっそう旨く感じるんだよ」
「それもそうだな」
そんな客のやりとりを聞きながら、ふと、川開きもいいけど、そういえば今年花見行きたかったなぁ。できれば新さんとふたりで、なんてぼんやりと考えてしまう。
「おりん、時間だよ。もう、上がっていいよ」
新さんと会える!そう思うと、前掛けをきちんと畳むのももどかしくなってしまう。不器用な私を見るに見かねて、片付けておくから行っておいで!新さんとデートでしょ、と旦那さんが声をかけてくれる。どうやら私の行動はお見通しのようだ。
着物の裾をひょいと持ち上げて、橋の向こうまでダッシュ。だって、一刻でも早く会いたいんだもの。新さんへの想いが、溢れそう。
(最終話に続く)
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