青空文庫は誰でもアクセス可能な無料の電子本を集めた、インターネットの電子図書館。著作権の消滅した作品など、今日現在で14,000点以上が収録されています。
法律では、作品が著作権で保護されるのは著作者の死亡の翌年1月1日から50年間で、保護期間の終了も1月1日となるため、今年1月1日、毎年恒例となる、青空文庫に収録される予定の作品を発表しました。
今回発表されたのは28名の作家による28篇の文章。この28名という数は、青空文庫が元旦の作品公開を始めて以降、最大の作家数なんだそうです。
ラインナップには山本周五郎や吉田茂の作品も並んでいます。
発表された作品一覧がこちら
- 鮎川 義介「革命を待つ心 ――今の実業家、昔の実業家――」
- 勝本 清一郎「カフェー」
- 金沢 庄三郎「『辭林』緒言」
- 木村 荘十「雲南守備兵」
- 窪田 空穂「花」
- 島 秋人「遺愛集 あとがき」
- 新村 出「『広辞苑』自序」
- 薄田 太郎「広島という名の由来」
- 恒藤 恭「学生時代の菊池寛」
- 壺井 栄「二十四の瞳」
- 時枝 誠記「国語学と国語教育」
- 富田 常雄「転がり試合 柔道と拳闘の」
- 中村 清太郎「残雪の幻像」
- 野上 彰「本因坊秀哉」
- 早川 鮎子「穂高岳屏風岩にて」
- 菱山 修三「再びこの人を見よ ――故梶井基次郎氏」
- 秘田 余四郎「字幕閑話」
- 三宅 周太郎「中村梅玉論 大根か名優か」
- 森 於菟「放心教授」
- 矢崎 源九郎「絵のない絵本 解説」
- 柳原 白蓮「私の思い出」
- 矢部 貞治「政治学入門」
- 山浦 貫一「老人退場説」
- 山本 周五郎「青べか物語」
- 吉田 茂「私は隠居ではない」
- 吉野 秀雄「秋艸道人の書について」
- 淀野 隆三「思ひ出づるまゝに」
- 笠 信太郎「デモクラシーのいろいろ」
今回、28名もの作家の作品を紹介するのには理由があります。日本とEU間の経済連携協定(EPA)が大筋合意となり、協定の中には著作権保護期間を現行の死後50年から70年へと延長するという項目も含まれています。この項目に懸念を表明している青空文庫。以下のように綴っています。
EPAの実際の発効は2019年頃と目されていますが、ご存じの通り、その年は「平成」という時代が終わる年でもあります。このまま進むと、来年年始をいったんの節目としてパブリック・ドメイン・デイは20年間訪れないことになり、ある文化が共有財産になるかならないかの区切りが、1968(昭和43)年と1969(昭和44)年のあいだに引かれることとなります。
そらもよう - 青空文庫