「国をよこせ!」天界の無茶な要求に英雄・大国主命が取った行動とは?:3ページ目
頼みの綱も通じず!大国主命の決断は…?
出雲の伊耶佐小浜(いざさのおはま)に降臨したタケミカヅチは剣の切っ先にあぐらをかくと言う離れ業を見せつつ、大国主命に強く言い放ちます。
「天照様は、“お前が不法に支配する土地は我が子が治める国である”と仰せになってワシを送り込まれた。さあ、貴殿の返答を聞こうではないか!」
こうした天界の恫喝に対して、大国主命は落ち着いて返答します。
「私だけでは決めかねること。我が息子の意見も聞いてからにしましょう」
大国主命が意見を求めた息子のコトシロヌシ(事代主)は、後に恵比寿様のモデルになった釣り好きの海神でしたが、託宣の神でもありました。コトシロヌシは天界に逆らっても無駄だと悟り、承諾しました。しかし、彼の弟で大国主命が意見を述べさせるもう1人の子としていたタケミナカタ(建御名方神)は、父や兄に対する天界の仕打ちに当然怒りました。
スサノオさながらの豪傑であるタケミナカタは敵に力比べを挑みましたが、腕を剣や氷に変える呪術を使うなどの技術面でタケミカヅチに劣り、反対に投げ飛ばされます。そして、諏訪湖のほとりまで追い詰められて降参し、追従を承諾したのでした。知恵のコトシロヌシ、武勇のタケミナカタと言った子供達が降参したのを見届けた大国主命は、ついに天界への降伏を決意します。
ここに大国主命の天下は滅亡しますが、どんな時でも独断せずに一門の意見を求め、かつ犠牲が少ない方法を選ぶあたり、仁徳を武器にして国を興した心優しい彼らしいエピソードですね。次回は、その後の大国主命について紹介したいと思います。