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構図の技、色彩の技…葛飾北斎の隠し技がすごい!知って北斎展を100倍面白く

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こだわりづくしの色使い

北斎が特に強いこだわりを持って取り組んだのが「色彩」です。彼はたとえ暗い色を出したい時にも、淡い色から幾重にも色を塗り重ねて、複雑な深い色味や質感を生み出しました。「でも、そんな風に色を工夫している絵師は他にもいますよね?」そういわれたらそうかもしれません。しかし北斎のスゴイところは、どうやらそれだけではなさそうなのです。色には進出色、後退色があります。これは色の波長が長い方が手前に飛び出て見えるという原理です。下図の右に行くほど波長が長く、飛び出して見えます。

色の波長スペクトル ウィキペディアより

赤、橙、黄などは進出色で飛び出して見える進出色、青や青紫、紫は後退色というわけです。そしてたとえば同じ青でも、淡い青は暗い青より手前に見えます。最新の研究では、北斎がこの原理を理解して色を使っていたのではないかと言われています。

たとえば北斎が89歳ごろに手がけた「八方睨み鳳凰図」。

岩松院「八方睨み鳳凰図」下絵 ウィキペディアより

こちらの図は長野県小布施の岩松院の巨大な天井絵の下絵です。立体的に陰翳をつけられた美しい鳳凰ですが、中でも赤い尾羽根がもっとも手前に進出して見えます。手が触れられるのではないかという錯覚すら起こりそうです。その下に伸びる羽根も進出して見えるよう黄色で彩色。

反対に、鳳凰の体の大部分は後退色で奥まって見え、より尾羽根が引き立つよう工夫されています(実際の天井絵は下絵とは配色が少し違いますが、この原理は守られています)。

そして同じく小布施の町に残るこの波。祭屋台の天井絵「怒涛図 女波」。

「怒涛図 女波」ウィキペディアより

渦の最も奥は暗い藍、一つ手前の波は明るい藍、もっとも手前の波は緑青。緑は青より波長が長く、手前に出て見える色なので、より立体感が出せるのです。これらの技法は、北斎の技の一部にしか過ぎません。まだまだ紹介しきれないほどの技が、北斎の絵には隠されているのです。やっぱり北斎は、すごい!

トップ画像: Wikipediaより

 

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