以前ご紹介した怪談落語の記事は、楽しんでいただけたでしょうか。
[動画で楽しむ落語] 背筋がゾッと寒くなる、真夏に聴いてみたい怖い落語4選
今回は第2弾として、肌寒い時に聴きたくなるようなお噺をご紹介します。笑って泣いて、心から温まってくださいね。
目黒のさんま
日本人として一度は聴いておきたい古典落語の代表格。
今年はさんまが不漁でまともにありつけていない、おそらくそんな方も多いのではないでしょうか。でも大丈夫。この「目黒のさんま」には皆さんに代わって、ものすごーく美味しそうにさんまを食べてくれるお殿様が登場します。きっと、見ているだけで幸せいっぱいおなかいっぱい。この有名落語にちなんで、目黒では毎年9月に焼きたてのさんまが振る舞われる「目黒のさんま祭り」が開催され、今年も大いににぎわいを見せました。
この演目は大変多くの落語家が演じているので、聞き比べもまた一興。実にいろんなさんまの食べ方があるのです。今回は、昭和の名人・十代目金原亭馬生の高座をお楽しみください。
十代目金原亭馬生「目黒のさんま」
野ざらし
あっ!こんなところに野ざらしのしゃれこうべが!・・・なーんてことがあれば、現実では大事件。ですが落語の世界ではそうではありません。落語の世界には、見ているこっちも愉快になってしまうような陽気な男・八っつぁんが住んでいて、野ざらしのしゃれこうべだって笑い噺になってしまうのです。
途中、八っつぁんが唄う「サイサイ節」が何とも愉快で覚えやすく、気づけばあなたも口ずさんでいるかも?
五代目三遊亭圓楽「野ざらし」
子別れ
秋はなんとなく気候が寒々しくなってきて、なんだかもの哀しくなったり、人のぬくもりが恋しくなるもの。そんな寂しい気持ちになった時にぴったりの噺がこの「子別れ」です。
主人公は神田の大工の熊五郎。この熊さん、酒癖女癖が悪いものだから、奥さんが幼い息子の金坊を連れて出て行きそのまま離縁に。目の覚めた熊五郎は真面目に働くようになりますが、時すでに遅し。
3年経ったある日、熊五郎が仕事で木場に向かう途中、道端に見覚えのある子供が。「ありゃあ、金坊じゃないか!」・・・家族を手放して独り身になってしまった男のもの哀しさが胸に迫りますが、最後のサゲでクスリと笑えて心がほっこり温かくなる、人情噺の名作です。
三代目古今亭志ん朝「子別れ」
秋の夜長を落語とともに過ごしてみてはいかがでしょうか。