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新世紀の仏像彫刻、それともフィギュア?仏界のガーディアンを表現する現代美術作家・上根拓馬さんインタビュー

新世紀の仏像彫刻、それともフィギュア?仏界のガーディアンを表現する現代美術作家・上根拓馬さんインタビュー

−−上根さんの作品は、彫刻作品と呼んで良いんでしょうか? 仏像フィギュア?

「僕の作品をどう呼ぶべきか、ということは、いろんな方ともお話してきたんですが、今のところはフィギュアと呼んでいます。日本語のフィギュアという言葉は、アニメや漫画のキャラクターの立体造形のイメージが強いですが、最近ではフィギュアの手法で様々な表現をするクリエイターも増えていきています。なので、『フィギュア』という言葉が持つ意味を、僕たちがポジティブに拡張していければ良いのかなと」

−−上根さんのブログを拝見すると、作品の制作工程を丁寧に紹介されていますね。いろんな素材を使用して、段階的に組み立てていくんですね。頭部のドーム型に、小動物の頭蓋骨が入っているのには驚きました。プラモデルのようでもあり、職人さんのつくる工芸品のようでもあり、面白いですね。

「僕は物事の構造に興味があるというか、そのものを構成する要素を一度解体して、再構築してみたいという欲求が強いようです。なので、ガーディアンたちもいくつものパーツをつくって、それを組み合わせていって完成させるという制作方法をとっています。FRPを使用した作品は特に、日本の乾漆像のつくり方に非常に似ているなと思っています。

ガーディアンのシリーズで、全ての作品に共通しているのは、見える見えないにかかわらず、いずれのフィギュアも脊椎のパーツを持っていることです。僕にとって、脊椎という部位は生命の象徴であって、どの作品もまず脊椎のパーツをつくって、そこから肉付けをしていっています」

−−制作のコンセプトなどをうかがっていると、従来の日本の仏像のスタイルに見慣れてしまった我々日本人よりも、海外の方のほうが、上根さんの作品の造形的な面白さをストレートに受け入れられているかもしれないですね。

「そういう点はあるかもしれません。宗教的な観点からのフィルターがかかっていないので。アートフェアの会場でも、海外から来たお客様は、仏像だということはなんとなく分かった上で、造形の面白さに興味を持ってくれていたようです。

いま実は、海外での作品発表のお話をいただいていて、それに向けて、自分自身のこれまでの制作について資料をまとめているところです。自分が作品を通じて表現したいことを、改めて自分の言葉で整理する時期に来ているのかなと。日本語でもできていないことを英語でやらなければならないので、既にキャパオーバーなんですが(笑)」

−−それは楽しみですね。今回の渋谷Bunkamuraでの個展も、場所柄、いろんな方からの反応があると思います。DMを拝見しましたが「貴方が見つける守り神」というコピーも面白いですね。いろんなガーディアンの中から、自分の推しメンを見つけるのも楽しそう(笑)。

「はい、夏休みですし、いろんな方にご覧いただければと。等身大サイズの新作も展示します。会期中の週末(19日、20日、25日、26日、27日)は在廊していますので、ぜひいらしてください」

−−上根さん、本日は個展前の貴重なお時間をありがとうございました! 展覧会のご盛会をお祈りしております。

取材・文=松崎 未來
協力=Bunkamura Box Gallery、香染美術、EARTH+GALLERY

上根拓馬 ウェブサイト:STUDIO BAU CA

■展覧会情報■

上根拓馬展 “21世紀、高天原のゆくえ”

会期:2017年8月19日(土)〜8月27日(日)
時間:10:00〜19:30
休廊日:会期中無休
会場:Bunkamura Box Gallery(東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura 1F メインロビーフロア 03-3477-9174)

Bunkamura

 

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