犬や猫、狸や狐などなど…知れば知るほど興味深い、動物妖怪の世界:2ページ目
犬や猫の妖怪
平成元年にニュースになった人面犬、覚えていらっしゃいますか?体は犬なのに首から上は人間の人面犬は、実はすでに江戸時代に話題になっていたのです。驚くほど足が速くて、人間に会うと「ほっといてくれ、なんだ人間か」と捨て台詞を吐くとのこと。現代に出没したら、ネットニュースであっという間に拡散して騒がれそうですね。
愛媛には、犬神という犬の霊もいました。憑いた人には恩恵を与えるものの、憑かれた人間が羨ましいと思った相手には災いをもたらします。
猫の妖怪には、猫またや五徳猫などがいました。全国に出没した猫または、歳をとった猫が妖怪になったもので、尾が二つに分かれています。昔から人間を襲う妖怪として恐れられ、性格は凶暴でした。
五徳猫は、名前の通り五徳を頭にのせ、尾がふたつに分かれた猫またの一種。秋田に出没したようです。鳥山石燕の描いた五徳猫は、囲炉裏端で竹で火を吹いていてユーモラス。とっても忘れんぼうで、五徳を頭に載せていることも忘れているようです。
牛の妖怪もいろいろ
動物妖怪の中には牛の妖怪もいました。件(くだん)は人間の顔に牛の体を持つ妖怪で、人面犬の牛バージョン。漢字の作りもにんべんに牛です。件は、生まれてすぐに災害を予言し、数日で死んでしまうという妖怪です。この件を描いた絵を家の中に貼ることで、厄除けにしていたとか。
道の真ん中に横わたって道をふさぐのは、雄牛(おうし)。踏んで越えられなかったら、行く先にまた再び現れるんだとか。主に熊本県に出没したようです。
また、お盆のあと海に現れる妖怪といえば、海牛(うんむし)。角のある黒牛の姿で、恐ろしい咆哮を発しながら現れるので、なかなかの迫力ですよね。鹿児島県に出没したそう。
動物の妖怪って、意外といろんなものがいたんですね。知れば知るほど興味深い妖怪たちの世界、次回もお楽しみに♪
参考文献:山口敏太郎(2002)『江戸武蔵野妖怪図鑑』けやき出版.、小松和彦(2015)『知識ゼロからの妖怪入門』幻冬舎.