あの装飾は「炎」ではない?縄文時代の国宝・火焔型土器、5000年前の人々が刻んだ謎とデザインの秘密:2ページ目
あの「炎」は、本当に炎なの?
実は、「火焔」と名付けられているものの、あの突起が本当に炎を表していると証明されたわけではありません。
もちろん、燃え盛る炎を表しているようにも見えます。しかし研究者の間では、それだけではないさまざまな説が唱えられています。
例えば、4本足の動物を表しているという説。
あるいは、水面を跳ねる魚や、水の流れを表現したという説。
生命力や自然への畏敬の念を形にしたという考え方もあります。
縄文人は文字を残していません。そのため、本当の意味は今も分かっていないのです。5000年前の人々がなにを思ってこの形を生み出したのか。それを自由に想像できる余地があることも、火焔型土器の大きな魅力といえるでしょう。
デザインには細かなルールがあった
自由奔放に作られたように見える火焔型土器ですが、よく観察すると、ある一定の決まりに従って作られていることが分かります。
まず目を引くのが、口縁部に4つ並ぶ大きな突起です。これは鶏のトサカに似ていることから「鶏頭冠(けいとうかん)突起」と呼ばれ、それぞれには小さな尾のような突起が添えられています。
その4つの突起をつなぐように巡るのが、ギザギザした「鋸歯状(きょしじょう)突起」です。
さらに頸部には、目玉のような円形の突起。その周囲にはS字文や渦巻文が隙間なく組み合わされ、土器の下半分には縦方向のラインや渦巻文が巧みに配置されています。
基本となる構成は共通していますが、細部の文様はさまざまです。まるで同じルールの中で、それぞれの作り手が個性を競い合っていたかのようです。