『豊臣兄弟!』小一郎が悪辣城主に怒りの鉄拳!まさかの父子共演で描かれた竹田城攻めを史実とともに考察:2ページ目
“百姓マインド”が残っているゆえの「水断ち」発想か
囲まれたことに怒る城主・太田垣輝延は、城内に水が3日分としかないと聞き、「半分の水はわしの所へ持ってまいれ!家臣が主君を守るのは当然であろう」と驚きの発言。
あまりにも器の小さい発言に、家臣の間にも動揺が走ります。「皆、こいつ(輝延)のデコに退職届を叩きつけ辞めてくれ!」と願った瞬間。
「水」が飲めないと人間は2〜3日で生命維持が困難になるそう。ある意味、血を流す戦いより「水の供給を断つ」のは残酷です。「水」が原因で人は殺し合いに至ることは、“百姓マインド”が残る小一郎は知っているはず。
「水絶ち」なら相手もすぐに降参し斬り合いをせずとも済むとシンプルに思ったのか。
それとも、秀長(小一郎)は「自殺者がでるほど冷酷な財政政策を行う面も持つ」ことへの布石なのか。
いずれにしても、敵の大将は「死んでも戦え!」な人で、水の枯渇では降伏しないとは思わなかったのでしょう。
今回の無血開城は、ドラマならではの創作ストーリーです。
たとえば、『信長公記』においては「岩洲城も落とし、小一郎は城代に」という短い報告程度。
『武功夜話』では、「諸手より鉄砲三百挺先を相揃え打入り候えば、遂に叶わず降参、城を相渡し退き候なり」と、「竹田城なりに抵抗するも三百挺の鉄砲隊に攻撃され、城を明け渡して退散」したとありますが、それ以上の説明は書いていない様子。
いかにも「難攻不落の城」というイメージのある竹田城の石垣は、大田垣氏が没落した後、廃墟になった土地に石垣が積まれたそう。わりと史実はそっけない感じのようです。
驚くほど器が小さい暴君ぶりが際立っていた城主
小一郎からの「降伏すれば命は取らぬ」という手紙を「誰が降伏などするものか」と捨てる太田垣輝延。「何とかして水を持ってまいれ!」と命令するも、城内には枯渇死寸前の兵がいることを知る家臣たちはもう無言です。
一方、小一郎軍は高虎が竹田軍の水汲み場を発見。篝火を消し「軍は引いた」ように見せかけ、水を汲みにきた敵兵たちを捕まえます。刃を抜いて戦おうとする竹田城の兵たちに「まずは心ゆくまで水を飲んで」といい、家臣の上垣清重(松本実)に「話を聞いて欲しい。お主たちの命たちを救いたい」とある提案を持ちかけました。
それは、水を汲んで城内に運ぶ竹田軍の兵たちの中に小一郎軍が紛れ込むこと。
そんな作戦には気が付かず、運ばれてきた水に目が眩み、「主より先に飲もうとするな!この無礼者めが」と家臣らに怒鳴る輝延。
正体を明かした小一郎たちは、城内にどんどん水を運び入れ「毒など入ってないので水を飲んでくれ。重症者には飲ませてやってくれ」と叫びます。兵たちはもはや戦う気力もなく、「ありがたい」と水を飲むことに夢中。
「お前ら、敵の施しをうけおって!恥を死れ!」と、自分の水独り占めは棚に上げて叫びまくる輝延。忠臣・上垣清重は、そんな城主をチラ見するもガン無視して、倒れている兵を抱き上げ水を飲ませていました。
「早くこいつらを斬らんか!差し違えてもこいつらを斬らんか!斬れ!斬らんか!それがお前らの役目であろう」と、暴君ぶりを発揮するも、誰一人としてもう見向きもしません。これだけ小さい暴君なら捨てても何の後悔もないでしょう。

