江戸時代は“暗黒時代で悲惨”は誤解!世界と比較して見える日本社会の驚異的な安定:2ページ目
世界を凌駕する飢饉対策
江戸時代の社会システムがいかに優れていたかは、飢饉の被害を世界と比較すれば明確になります。
まず天明の飢饉では約百万人の犠牲が出たと推定されていますが、これは全人口の三%にあたります。
甚大な被害には違いないのですが、同時代の世界情勢と比較すれば話は別です。
例えば十七世紀末のスコットランドでは、飢饉によって人口の十五%が失われました。また同時期のフランスでも二百万人が死亡し、人口の一割近くが消滅するという凄惨な事態に陥っています。
さらに十八世紀のプロシアや十九世紀のアイルランドでも、人口比で日本を遥かに上回る犠牲者を出しました。
これらと比較すると、日本の飢饉被害は明らかに小規模であり、社会の防衛力が際立っていたと言えます。
飢饉の被害を抑えられた理由は、村落共同体による高度な相互扶助システムにありました。幕府や藩による備蓄制度に加え、地域社会が一体となって食料を融通し合う仕組みが機能していたのです。
飢饉は避けられない天災ですが、被害の規模は人々の防災意識と社会の仕組みによって決定的に変わります。当時の日本は、世界でも類を見ないほど強靭なセーフティネットを構築していたと言えるでしょう。
