『べらぼう』は終わらない!総集編の放送前に心に残った感動の名場面を振り返る【吉原・遊女編】:3ページ目
クールな遊女「松の井」の粋な行為
花の井と同じ松葉屋務めで「呼び出し」という地位だった、松の井(久保田紗友)は、はっきりと物を言うキリッとした性格のクールな女性でした。
12話「俄なる『明月余情』」。うつせみと新之助の足抜けから2年ほど経った頃。吉原では「俄祭り」が行なわれ多くの人で賑わっていました。
松の井はうつせみに、「新さま来るかもしれんすな」と囁きますが、うつせみは「そんな……もうわっちのことなぞお忘れでありんしょう」と呟きます。けれども、新之助は来ていました。通りの反対側にいる新之助を見て、信じられないというように立ちすくむうつせみ。
松の井は、そんなうつせみの背中に手を置き、「祭りに神隠しはつきものでござんす。お幸せに」と、さあ行きなさい!とばかりに新之助のほうに押し出しました。祭りの騒ぎに乗じて手に手をとって吉原の大門を出ていく二人。今度の足抜けは松の井のおかげで成功したのでした。
クールで「足抜けなんて、ばからしゅうありんす!」と思っていそうな、現実的な女性にみえて、実はうつせみのことをちゃんと考えていました。
あっさりとした物言いだけれども、温かさと愛情が感じられる、なんとも松野井らしい「粋」な計らいが評判となった印象的なシーンでした。
