「日本」を感じるスピードの旅 18きっぷのシーズン始まる
もうすぐ18きっぷのシーズンですね。と言って「そうですね」と返してくれる方は、どれくらいいらっしゃるのでしょうか。知ってる方は重々承知の18きっぷ、御存知ない方にはやはり説明がいるかも知れません。
18きっぷ。正式名称は、青春18きっぷ。JRが春・夏・冬に発売する、いわゆる乗り放題のフリーきっぷです。普通列車のみ日本中どこでも乗り放題で、5日分が11500円。バラ売りなしはありませんが、一日だと2300円と超破格値になります。ただし、特急には特急券を買っても乗れません。急行も、同じく。とことん、鈍行のみのきっぷです。名前は「青春18」ですが、購入と使用に年齢制限はなく、青春の心と懐を持つ人なら誰でも買えます。あ、お金持ちでも多分、買えると思います。
「正気」あるいは「堅気」の使い方としては、2300円の元が取れるか、それを若干上回る程度の距離のお出かけに用いるのが一般的でしょうか。往復で3000~5000円程度のところへ行き、ちょっと遊んで、ちょっとおいしいものを食べる、みたいな。関東圏なら、それくらいの範囲に渋くて日帰り可能な温泉も、結構あります。
それに対して狂気の使い方としては、もちろん乗りっぱなしです。始発から最終まで、乗りっぱなしです。駅から一歩も外へ出ることなく、食事もろくにとらずに、乗りっぱなしです。現在のダイヤだと東京からどこまで行けるのか不明ですが、西方面なら九州入りも可能でしょう。普通の人だと、体と精神が持つかどうか怪しいですが。
18きっぷで地方をウロウロしてると、「日本」を強く意識させられます。新幹線とも高速とも違う、古い鉄道路線が持つ線形とスピード感。自然が生み出した難所を力まかせ、あるいは軽やかに通過するのではなく、自然と拮抗しながらジリジリと越えていく。ただ「見る」だけでなく、地形と風土を「体感」できる鈍行列車は、「日本」を楽しむのに最も適した乗り物かも知れません。鉄に興味がなくても、この夏はスローな鉄の旅を楽しんでみるのもいいんじゃないでしょうか。
青春18きっぷ – wikipedia