「べらぼう」戻ってきた歌麿との絆!蔦重史上最高の“おふざけ”『写楽プロジェクト』完成を考察【前編】:4ページ目
「写楽ってすげえなあ」と感嘆の声がもれる
写生会後、戯作者たちは芝居の場面やポーズを選択、絵師たちは役者絵を描き始めます。ふざけて役者の真似をする太田南畝(桐谷健太)と宿屋飯盛(又吉直樹)を見て、「役者と役者が向かい合って対になる表情をしたらおもしろくねぇですか?」と閃く蔦重。
史実でも、二人の向かい合った役者絵は写楽の特徴でもありますが、ふたりの戯作者の「おふざけ」から蔦重が閃いた!という脚本にしたのですね。
さらに、それぞれの絵師が同じ役者の絵をそれぞれの個性で描きます。そして、切れ長の目は北尾正美(高島豪志)の絵、がっしりした顎は重政の絵というように各パーツを採用、絵に紙を被せて歌麿が写し取っていきます。
そこへ、勝川春朗(葛飾北斎/くっきー!)が登場。「蘭画は手前がど〜ん!で奥がきゅっきゅっ」と、遠近法を取り入れるアドバイスをします。背景を墨にして影を付ける方法を取り入れた絵が完成しました。
完成した絵を見ながら感心ししばし見惚れるチーム蔦重。歌麿も「写楽ってすげえなあ」と呟きます。
出来上がった絵に魅入る蔦重の肩を引き寄せて笑顔で叩く歌麿。以前は蔦重に対する想いから来る苛立ちで、肩を抱かれたりすると嫌がっている姿を何度も見てきたので、ほっとする場面でした。
蔦重のアイデアとそれに乗ったチーム蔦重と歌麿が創り上げた「写楽」というストーリーの完成です。
もちろん、謎の絵師・写楽にはいろいろな「正体説」がありますが、ただガチガチに史実だけを追って作ったらドラマではなくドキュメンタリー。
「べらぼう」はあくまでも「〜蔦重栄華乃夢噺〜」。蔦屋重三郎の「夢噺」です。
復讐劇を背負いながらも“架空の絵師・写楽を誕生させてそれが平賀源内ってことにする”という、最高の「おふざけ」から誕生したストーリー展開こそ、まさに「べらぼう」らしい面白さだと思います。
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