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“豚丼”は代替メニューなんかじゃない!北海道(十勝・帯広)の郷土料理としての素顔とその歴史に迫る

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吉野家が元祖ではない

これに追随するように帯広市内の他店も豚丼の提供を開始し、各店がタレの配合や焼き方に工夫を凝らすことで、地域全体の名物料理へと発展していったのです。

さらに時代を下り、2003年のBSE問題による牛肉輸入停止措置が、豚丼の知名度を全国区へと押し上げる皮肉なきっかけとなりました。

牛肉不足に陥った大手牛丼チェーンの吉野家などが、代替メニューとして豚丼の販売を開始したのです。

この出来事により、多くの人々が「豚丼」という名称を認知することとなりましたが、同時に一つの大きな誤解も生じさせています。すなわち「豚丼は牛丼屋の代替メニューとして生まれた」という認識です。

しかし、これまで述べた通り、帯広の豚丼はそれとは全く異なる文脈、すなわち昭和初期からの長い歴史と独自の調理法を持つ郷土料理なのです。

牛丼チェーンのそれとは区別するため、「帯広系豚丼」「十勝豚丼」といった呼称が用いられるようになったのもこの時期からです。

現在の北海道グルメシーンにおいて、札幌の味噌ラーメンやジンギスカンと並び、十勝の豚丼は確固たる地位を築いています。

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参考資料
北都物産/宅建業と木材業
うちの郷土料理 次世代に伝えたい大切な味

 

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