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『べらぼう』蔦重の“初恋の師匠”で最長の相棒!北尾重政の影の功労者ぶりを史実とドラマから探る

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浮世絵界の優等生は本屋の息子だった

北尾重政は、元文4年(1739)、江戸の小伝馬町にある出版活動を行う書肆(しょし=本屋)の長男として誕生しました。家業は弟に譲り、独学で絵の技術を磨き浮世絵師としての道を歩むようになったのです。

重政は、1枚絵よりも「版本」という木版で印刷する本の挿絵を多く手がけていました。数多くの色を使う錦絵の手法で、美人画、役者絵、武者絵などを手がけて、美人画は鈴木晴信風の手足がすらっとした絵を、役者絵は手足をひょうたんのように描く鳥居派風の画風を取り入れていました。また、書道にも通じ有名書家などに混じって、幟の文字や書などの作品も残したそうです。

史実では、重政の方が蔦重より11歳年上です。年齢差があるにも関わらず朋友としてほかの誰よりも長い信頼を結ぶ関係となったのは興味深いところ。本屋という商売の楽しさと大変さは誰よりも知っているので、蔦重の苦労も理解でき発想力や企画力に共感したのかと思います。

つまり、重政の本屋育ちゆえの出版センスが、若き駆け出し本屋蔦重と出会ったことで、面白い化学反応が生じ『江戸の浮世絵文化』が育っていった……といっても過言ではないでしょう。

3ページ目 指導力だけでなく面倒見がよく付き合いもいい性格

 

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