「べらぼう」蔦重と歌麿、あの頃にはもう…おていさんの安否、失脚の定信…11月9日放送の振り返り&考察:3ページ目
たくさんの面、一橋治済が選んだ面は……
大広間でひとり能面コレクションをずらりと並べた一橋治済(生田斗真)。とうとう定信を失脚に追い込む準備は万端、いよいよ計画を実行する時がやって来たようです。
治済が手にとり、着けた面は平太(へいた)でしょうか。荒武者を表現する面で、勝修羅物(かちしゅらもの。勝利した英雄を主役とする演目)に用います。
もしこの面が平太であるならば、治済は定信の周囲を完全に調略し切って、勝利を確信していたのかも知れませんね。
参考:
第43回「裏切りの恋歌」ご視聴頂きました方々、誠に有難うございます。
一橋斗真様が能面を選ばれるシーンに
能面22面ご用意させて頂きました。
大坂〜お江戸へ、汗ばむハンドルを握りました🚘💦
生田治済様が使用されました能面は
「泥真蛇」デイシンジャ 伝真角作 戦国期… pic.twitter.com/kIBx75Fd3q— 辰巳大二郎 (@daijiro_tatsumi) November 9, 2025
……と思ったら「俊寛」でした。これは流罪となった後、自分だけ赦免から外された時の感情を表現する面なのだとか。みんなから梯子を外された定信の孤独を表現しているのでしょうか。
定信が「下城(役職を辞して帰郷)したい」と言ったので、徳川家斉(城桧吏)がそれを慰留して大老「格」へ押し上げる素振りを見せながら、一気に梯子を外す様子が絶妙でした。
引退したいと言うから、その希望を聞き入れてあげたよ。ホラ、早く帰りなよ。今までご苦労様……表面上は希望を聞き入れてもらった形なので、今さら「続投したいです」などとは言えません。
まんまとハメられてしまった定信。かつての同僚たちは既に愛想を尽かしており、去りゆく背中を大爆笑で送る始末です。
確かに「地獄へ堕ちるがよい!」と呪いたくもなりますね。
誰かがやらねばならぬから、それを真面目に実行したら陥れられる……そんな事例は少なくありません。
かつて蔦重が「頑張って汚ぇどぶさらいをしてくれている」と(皮肉半分ながら)言っていましたが、いざ綺麗になったらもはや用済み。かくして定信は使い捨てられてしまったのでした。
