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『べらぼう』蔦重、定信、京伝、歌麿…それぞれの“尽きせぬ欲”とは?その「欲」から始まる新展開【前編】

『べらぼう』蔦重、定信、京伝、歌麿…それぞれの“尽きせぬ欲”とは?その「欲」から始まる新展開【前編】:3ページ目

クリエーターたちの「創作欲」に再び火を付けること

蔦重は次の狙いは、鶴屋と手を組んで“創作の世界”から身を引いたクリエーターたちに、もう一度「やる気」を起こさせること。

クリエーターにとっての“欲”とは、自分を認めて欲しいという承認要求もあるでしょうけれど、何よりも描きたい!書きたい!創りたい!と湧き上がってくる“創作欲”。

まず、二人が狙ったのは、落としやすい山東京伝です。冒頭でご紹介したように、煙草入れ店を開業する京伝のための資金集めの宴と称し、たくさんのファンを座敷に呼びました。

ファンの“モテのスコール”の乗せられて、すっかりまたクリエーターとしての仕事をすることになった京伝。蔦重や鶴屋に、自分の調子のいい性格を見抜いてはめられたなと察しても、やはり筆は折りたくなかったのでしょう。

「本屋にくすぐられて」と言いつつ、そんなふうに復帰へのきっかけと作ってくれた二人には感謝している気がしました。

そして、クセが強い滝沢瑣吉と勝川春朗の二人は「こいつには負けたくない!」という“欲”を煽ることにも成功したので、残すは、歌麿の存在のみになりました。

きよ(藤間爽子)の死をきっかけに大喧嘩となり、栃木に行ってしまった一番大切な歌麿(染谷将太)の、“創作意欲”を取り戻すという使命です。

蔦重は歌麿にクリエーターとして再始動してもらうべく、歌麿が身を寄せている先を訪ねるのですが……。

【後編】では、蔦重の商売欲、天才を世に出したいという純粋なプロデューサー欲、歌麿の封印したはずの欲、クリエーターとしての創作欲、さまざまな「欲」がせめぎ合ったやりとりを考察します。

【後編】の記事はこちら↓

『べらぼう』歌麿の欲からひらめいた!「男女」を超越し愛する蔦重の仕草で誕生したあの美人画【後編】

大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」40回『尽きせぬは欲の泉』では、いろいろな人の“欲”が描かれていました。「幾多の困難を知恵とアイデアで乗り越えてきた俺が負けたくない」という蔦重(横浜流…
 

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