『べらぼう』鳥山石燕が見たのは平賀源内!?美人画絵師・歌麿の誕生と謎の雷獣の正体【前編】:2ページ目
当代一の美人画絵師・歌麿の誕生
世帯を持つにあたり、歌麿は蔦重に絵を買取ってくれと「笑い絵」を持ってきました。
丁寧かつ精密で、その才能がほとばしるような「笑い絵」の数々。蔦重の「よく、描けたなあ」という言葉は、「こんなに素晴らしい絵をよく描けたな」というだけではなく、過去の呪縛から解き放たれて、もう悩み苦しまずに描けるようになったんだな、よかった」……そんな万感の思いがこめられていました。
「まこと、ありがた山にございます。こいつにこんな絵を描かせてくれて」「この世でほかの誰にも描けねえ絵です」と、きよに歌麿を当代一の絵師にしてくれてありがとうと、頭をさげて礼の言葉をのべる蔦重。
絵師として自分は何が描きたいのか決めず、“蔦重に寄り添って生きることでよし”という人生を送っていたものの、自分を見失いかけていた時に鳥山石燕に救われ、きよと出会い、絵師として夫として“自分はこう生きていくんだ”と、歌麿は自分自身で決めたのです。
『べらぼう』喜多川歌麿が”結婚”の新展開 史料から謎多き妻・きよ(藤間爽子)の運命を追う
大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の作中において、密かに想いを寄せていた蔦重(横浜流星)をおていさん(橋本愛)にとられてしまい、喜多川歌麿(染谷将太)は内心面白くありません。しかしそんな…
「俺が、お前を当代一の絵師にする」とずっと言い続けてきた蔦重でしたが、「当代一の絵師」への道へと背中を押したのは、きよだったのですね。歌麿が蔦中の懐の中から、完全に巣立っていく姿が見えるようでした。

