【べらぼう】恋川春町の破滅のきっかけ『鸚鵡返文武二道』は実際どんな物語なのか?蔦重の運命も暗転:3ページ目
凧を揚げれば世が治まる?
さて、政を菅秀才に丸投げ……もとい一任されていた醍醐天皇は、久しぶりに高殿から都の様子をご覧になると……。
高き屋に 登りて見れば 騒ぎ立つ 民の気取りは 間違いにけり
【元ネタ】高き家(や)に 登りて見れば 煙立つ 民の竃(かまど)は 賑(にぎは)ひにけり(※仁徳天皇)
こりゃいかん。慌てて菅秀才を呼び出し、武ばかりでなく文(学問)も奨励するように仰せつけられます。
菅秀才「経世済民の道を心得た者を探し出しましょう」
帝「ケイザイとは何じゃ?野菜の一種か?」
聞かなかったことにした菅秀才は、文武両道に通じた大江匡房(おおえの まさふさ)を招きました。彼も時代が違うとか、そういうことは気にしないでください。
大江「学問所のテキストには、菅秀才様が書かれた『九官鳥の言葉』を採用いたしましょう」
※この書物が松平定信『鸚鵡言』をモデルにしていることは、言うまでもありません。
大江匡房が日々学問所で講義したところ、『九官鳥の言葉』は分かりやすいと大層な評判です。
大江「政治のキモは、時(時機)と勢い(時勢)と位(品格や道理)が大切です。この『九官鳥の言葉』では、政治を正月の凧揚げに喩えています」
「へぇ、凧を揚げれば世の中が治まるのか。さすが菅秀才様だなぁ」
大いに誤解されているようですが、そのうち気づくんじゃないでしょうか。
