【べらぼう】蔦重が松平定信に”書をもって断固抗う”決意を込め実際に出版した黄表紙3冊を紹介:2ページ目
朋誠堂喜三二『文武二道万石通(ぶんぶのにどう まんごくどおし)』とは
タイトルの意味
御家人たちの資質が文か武か、万石通(まんごくどおし)のように振り分ける意味です。
万石通とは稲穂を選り分ける農具で、千石通(せんごく~)とも。
ストーリー
時は鎌倉、将軍・源頼朝は畠山重忠に「御家人たちを文・武に分けてほしい」と命じました。
と言うのも、天下泰平が続いて御家人が文弱に流れると、いざ有事に対応できないからです。
「かしこまりました。せっかくなので、文・武だけでなく、どちらでもない『ぬらくら武士』も見極めましょう」
ということで、重忠はさっそく御家人たちに試練を課しました。
結果、武の方が文より若干多かったものの、圧倒的に「ぬらくら武士」が占めている現状が明らかになります。
この「ぬらくら武士」を選り分けようと、重忠はまた一計を案じ、ぬらくら武士たちに休暇を与えました。
箱根へ湯治に行かせ、そこでどう振る舞うかで文と武に選り分けようというのです。
かなりこじつけ気味に文と武を振り分け、とどめとばかり箱根からの帰り道に大磯の遊郭で遊ばせました。
さんざん醜態を晒して鎌倉へ帰り、頼朝から「文とも武とも(ウンともスンとも)言ってみろ」と叱られる……というオチです。
解説
頼朝は徳川家斉、文武両道の重忠は松平定信がモデルであることは言うまでもありません。
話中の「ぬらくら武士」たちは田沼派の者と分かるように描写され、これでもかと滑稽な姿が描かれました。
……ふんどしの守様、これでご満足でしょうか?
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