【べらぼう】なぜふんどし野郎?なぜていは眼鏡を外した?響く「屁!」コールほか… 第34回の振り返り:2ページ目
一度は断筆した大田南畝だったが……。
世の中に 蚊ほどうるさき ものはなし
ぶんぶといひて 夜もねられず【歌意】世の中で、蚊ほどうるさい存在はない。いつも文武(文武に励め)と鳴いてうるさいから、夜も寝られない。
松平定信は武士たちに文武両道を奨励した様子を諷刺したこの一首。実際に大田南畝が詠んだかどうかはともかく、天明狂歌の立役者ゆえに疑われてしまいました。
それは却って眉目(びもく。名誉)……などと嘯(うそぶ)く余裕はなく、一度は断筆してしまいます。
やがて南畝を経済的に支援していた土山宗次郎(栁俊太郎)が公金横領の罪で斬首されたこともあり、いよいよ我が身も……と思われましたが、幸い咎めはありませんでした。
これで胸をなで下ろしたのか、あるいは生来の反骨精神が鎌首をもたげたのか、喜多川歌麿の狂歌画集『画本虫撰』には狂歌を寄せています。
毛をふいて きずやもとめん さしつけて
きみがあたりに はひかかりなば【歌意】毛虫に余計なちょっかいを出して刺されるように、意中の君へ夜這いをかけてもロクなことになるまいよ。
その後も何だかんだと活躍するので、今後も楽しみに見守りましょう。
