【べらぼう】最期は粛清か自ら去ったか?大奥の最高権力者「高岳(冨永愛)」史実で見る実像と結末:2ページ目
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政権交代で身を引く
かくして大奥で権勢を振るった高岳は、表向きを取り仕切る田沼政権と連携しながら政治の両輪を支えます。
やがて田沼意次が失脚し、天明7年(1787年)に松平定信を老中にすべきか意見を求められた際は、御年寄の滝川(たきがわ)と共に反対しました。
その理由は「定信は種姫を通じて将軍家の身内となっているため、幕政に参加するのは好ましくない」というものです。
将軍家の身内が幕政に参加すれば、不都合が生じた際に将軍家が批判にさらされるリスクがあるからでしょう。
大河ドラマではこの根拠を9代将軍・徳川家重の遺言としていましたが、家重がそのような遺言をしたかはハッキリしていません。
ただし家重は家治に対して「田沼を重用せよ」と遺言しており、これを都合よく変換したのでしょう。
しかし抵抗も虚しく、定信が筆頭老中に就任すると、間もなく筆頭老女を退いたのでした。
大河ドラマでは「死を呼ぶ手袋」をダシに脅されたことから、渋々定信の老中就任に同意した形になっていましたね。
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※この手袋関連のエピソードは、大河ドラマの創作です。
しばらくは大奥に留まったでしょうが、定信政権において高岳が冷遇されたのは想像に難くありません。
間もなく身を引いたか粛清されたか……高岳の最期については不明となっています。
終わりに
今回は大奥の総取締として権勢を振るった高岳について、その生涯をたどってきました。
彼女が大奥を去った後は徳川家斉の乳母であった大崎が権勢を振るうようになります。
果たして高岳の去り際がどのように描かれるのか、冨永愛の好演に期待しましょう!
※参考文献:
- 高澤憲治『松平定信政権と寬政改革』清文堂出版、2008年5月
- 藤田覚『田沼意次 御不審を蒙ること、身に覚えなし』ミネルヴァ書房、2007年7月
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