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江戸時代に横行した「辻斬り」を監視せよ。幕府が設けた監視小屋”辻番”の知られざる実態

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18世紀初頭に著された『政談』には、農村から江戸に入り武家で奉公人をしていた者が、年老いて故郷に帰れなくなり、辻番に雇われたという記録が残っています。

また幕末の事例では、辻番の給金は1年で9両となっています。ここから人宿が手数料をピンハネするので、辻番を務めた請負人の給料は決して高くはありませんでした。

しかも町人による運営下では、60歳以上の老人が詰めたり、番所内で博打が行われるなどしたため、しばしば幕府による指導が入ったようです。

遺体をどうするか

辻番はただの見張り小屋ではなく、遺体の処理にも関係していました。

『鬼平犯科帳』では頻繁に殺人事件が起きますが、これは物語上のものだけではありませんでした。実際に当時の江戸の街には、行き倒れや変死体が多かったのです。

そのため、辻番では互いの受け持ち地域の境界に死体があった場合、死体の足がある方の地区が担当することが決まっていました。

また心中死体の場合は、男は左足、女は右足のある地区が引き受けることになっていたと伝えられています。

こうした死体は藩邸などを通じて幕府目付に届けられ、関係者が出て来なければ寺に葬る必要があったのです。

参考資料:縄田一男・菅野俊輔監修『鬼平と梅安が見た江戸の闇社会』2023年、宝島社新書画像:photoAC,Wikipedia

 

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