映画「国宝」で歌舞伎に興味を持ったあなたへ!ドレスコードは?食事は?鑑賞前に知りたい超入門Q&A:2ページ目
②歌舞伎のなぜ?を箇条書きで説明!
Qホームページやチラシを見ると…一幕ずつ分かれてるけど、続けて一つのお話なの?
歌舞伎座の公演をざっとみてみると、気が付いたことがあるでしょう。
(7月大歌舞伎 昼の例)
新歌舞伎十八番の内 大森彦七 11:00-11:48
(幕間 35分)
新歌舞伎十八番の内 船弁慶 12:23-1:29
(幕間20分)
新歌舞伎十八番の内 高時 1:49-2:47
(幕間20分)
新歌舞伎十八番の内 紅葉狩 3:07-4:10
これって、全部一つのお話なの?…いえいえ、実は違うのです。歌舞伎は一つの筋だった話をすべて演じることは少なく、「ある有名な話の一部分」の組み合わせで構成されることが多いのです。要するにクライマックスだったり導入部分だったり「いいとこどり」なのです!
現在の“サビだけ音楽を聴く”若者文化に似てませんか?え、違う?それはまあ、さておき…。小説でいうと、第一章だけやったり第十章だけやったり、ということですね。ちなみに、あるお話を最初から最後まで演じることを「通し狂言」といいます。
Q 演目に『狂言』とつくのはなぜ?他の伝統芸能との関係は?
伝統芸能の歴史をざっと振り返りますと、古い順に【能➡狂言(芝居)➡人形浄瑠璃➡歌舞伎】です。
狂言は「芝居」という広義の意味もありますので、狂言そのものを指す場合と区別せねばなりません。
・松羽目物…元々、「能」で演じられていたお話を歌舞伎に仕立てたものを「松羽目物(まつばめもの)」といいます。松羽目とは、大きな松の描かれた能舞台のことで、歌舞伎もそれを模した舞台にすることで、元々が能のお話だったということがわかるようになっています。
(有名な演目:勧進帳)
・人形浄瑠璃→浄瑠璃(じょうるり)とは、語りと三味線の演奏でお話を語ること。音楽に合わせて人形を操る人形劇です。
この人形浄瑠璃が、18世紀半ばに、歌舞伎へも盛んに移されて演じられるようになりました。
(有名な演目:『仮名手本忠臣蔵』)
・所作事→歌舞伎の舞台で演じられる舞踊または舞踊劇のこと。 長唄を伴奏とするものをさし、常磐津・清元など浄瑠璃を使う場合は浄瑠璃所作事といいます(常磐津は浄瑠璃の流派の一つ)。
Q新歌舞伎、または新作歌舞伎って?
新作歌舞伎は第2次世界大戦後に発表された作品をさします。狭義には、幕末・明治初期の歌舞伎脚本作者である、河竹黙阿弥(1816~1893)が一区切りとされ、黙阿弥後の新しい脚本の作品はすべて「新作」といえます。ですので、空中を飛んだり派手な演出をする、スーパー歌舞伎も「新作歌舞伎」という範疇にくくれるといえます。
Q歌舞伎の内容はどんなもの?
大きく、時代物、世話物、舞踊の三つに分類されます。
・時代物は、江戸時代より以前を描いた公家や武家社会の物語。
・世話物は、江戸時代の町人や庶民の世界を描いた物語。
・舞踊は、三味線音楽を伴奏とした舞いや踊り。
Q歌舞伎はなぜ、あのような喋り方をする?
歌舞伎は元々屋外で行われていました。
一説には外の遠くの隅々までよく聞こえるように、台詞を長く歌うように発声したからといわれています。もっぱら屋内上演になった現在でも、マイクはいっさい使われていません。
