【江戸時代の捕縛道具】江戸では犯罪者をどう捕らえたのか?命懸けだった捕物出役の全貌:2ページ目
生け捕りに特化した捕物道具
前線に立つことになる同心は、鉢金・鎖帷子・籠手などを着けて股引きを引き上げて履きました。そして刃引きした長脇差を差し、手には十手を持ちました。
時代劇に馴染んだ人には言うまでもありませんが、十手には相手を打ち据える・刀を避ける・押さえ付ける・取り上げるなどの機能が備わっていました。
その鉤の部分は太刀もぎの鉤とも呼ばれ、棒心で相手の刀を受けつつ刃に鉤を滑り込ませ、ひねって刀を取り上げます。
捜査の時は相手に十手を見せることで身分の証にもなり、現代の警察手帳のような役割も果たしていました。
こうした基本装備のほかに、さまざまな捕縛道具があります。特に三つ道具と呼ばれ、多くの同心らが用いたのが、突棒・袖搦・刺又です。
突棒は、柄の端に鉄製金具を取り付けたもので、金具には小さな刃や針が多く埋め込まれていました。
袖搦は、先端が数条に枝分かれした鉄製の針を柄の端に取り付けたもの。そして刺股は、U字形の鉄製金具を柄の先端に取り付けたものです。
特に刺又は、現在も不審者の捕縛などで使われることがあるので見たことがある人も多いでしょう。
町奉行所の捕物出役では生け捕りが基本であるため、いずれも犯人の身体に押し付けて、自由を奪って捕らえることを目的としていました。

