織田信長も虜にした伝説の香木「蘭奢待」(らんじゃたい)はなぜそこまで特別視されていたのか?
「蘭奢待(らんじゃたい)」——さて、この不思議な響きを持つ名前の正体、皆さんはご存じでしょうか?
蘭奢待とは、奈良・東大寺の宝物庫「正倉院」に眠る香木です。今も変わらず、そこに静かに保管されています。
史上初!織田信長らが魅了された天下第一の名香「蘭奢待(らんじゃたい)」の香りがついに初公開!
6月14日(土)から大阪歴史博物館で開催される特別展「正倉院 THE SHOW—感じる。いま、ここにある奇跡—」にて、おそらく日本で一番有名であろう香木「蘭奢待(らんじゃたい)」の香りが、展示会場で…
香木というのは、火にくべると芳しい香りを放つ木のことで、かつては仏前に供えるだけでなく、宮中や貴族たちの間で愛されてきました。香りはただの嗜みではなく、教養や地位、心のあり方を表すものでもあったのです。
蘭奢待の正式な名は「黄熟香(おうじゅくこう)」。長さはおよそ1.5メートル、重さは11キロを超えます。中には黒く染みた樹脂が溜まり、それが長年の時を超えてもなお、香りを生み出しているのです。
産地はおそらく東南アジア。ベトナムやタイあたりから、奈良時代の早い時期に日本に運ばれたと考えられています。けれど、どんな船に乗って、誰の手を経て来たのか。その道のりは今も謎のままです。
「蘭奢待」という名前も、実はちょっとした仕掛けがあります。「蘭」「奢」「待」の文字に、「東」「大」「寺」の漢字が隠れているんですね。昔の人の遊び心とセンスが光る名のつけ方ですよね。
2ページ目 なぜこの香木が、そこまで特別視されたのか。
ページ: 1 2

