神奈川県に護国神社を!創建前に横浜大空襲で焼失…幻の「神奈川県護国神社」とは?:4ページ目
神奈川県護国神社・略史
昭和9年(1934年)
- 11月 一県一社を創建する政府方針が決定
昭和14年(1939年)
- 4月 護国神社制度が開始
- 6月 神奈川県での創建運動が開始
※小田原・大磯・横須賀など県内各地で大規模な誘致運動
※ただし県は県庁所在地の横浜に内定
- 11月 護国神社の創建予算が成立
- 11月28日 神奈川県護国神社創建会が設立
- 12月 護国神社の創建予算が承認
※用地候補に岸根・下永谷・野毛山・保土ヶ谷・三ツ沢
昭和15年(1940年)
- 10月28日 三ツ沢に決定
昭和16年(1941年)
- 9月30日 用地買収を完了
- 11月1日 整地作業が開始
昭和17年(1942年)
- 7月27日 内務省より神奈川県護国神社の創建許可
- 12月23日 護国神社の造営が起工
昭和18年(1943年)
- 3月 整地作業が完了
- 11月25日 上棟式
昭和19年(1944年)
- 9月22日 完成予定日(だが完成せず)
※物価高騰と物資不足により工事が遅延していた
昭和20年(1945年)
- 1月 本殿・拝殿・参道まで完成。残るは鳥居や植樹など
- 5月29日 横浜大空襲により焼失
※正式な鎮座前に焼失したため、戦災神社として補助金の対象外に
昭和22年(1947年)
- 6月25日 予定地が横浜市へ払い下げ
昭和24年(1949年)
- 三ツ沢公園が設置
昭和27年(1952年)
- 6月 三ツ沢公園に戦没者慰霊塔の建設を決定
- 10月 戦没者慰霊塔の建設着工
昭和28年(1953年)
- 3月 横浜市戦没者慰霊塔が竣工
- 11月 上大岡で戦没者慰霊堂が竣工
【以下略】
終わりに
今回は幻となってしまった神奈川県護国神社の歴史をたどってきました。
ほとんど完成していたのに、あと一歩のところですべてが灰燼に帰してしまった悔しさは、察するに余りあるものです。
しかし神奈川県に護国神社があろうとなかろうと、かつて英霊たちが現代の私たちへ日本を守り継いで下さった事実が変わることはありません。
令和7年(2025年)で戦後80年の節目を迎える中、命懸けで日本の平和と独立を守ってくれた英霊たちに対して、改めて感謝と顕彰の誠を奉げたく思います。
※参考文献:
- 坂井久能『神奈川県護国神社の創建と戦没者慰霊堂(上・下)』1999年
