『べらぼう』で誰袖(福原遥)が持っている”ゴリ押し遺言書”の内容&実在の誰袖が詠んだ恋の狂歌を紹介!:2ページ目
大文字屋市兵衛(初代)の遺言書
【原文】
當家抱置候誰袖与申傾城
蔦屋重三郎殿ニ身代金
五百両ニ而可被身請候為
後日龜鏡仍而如件安政九年
大文字屋市兵衛 印
蔦屋重三郎殿※NHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」第21回放送「蝦夷桜上野屁音」より
【読み方の例】
當家抱置候誰袖与申傾城
(当家に抱えおきそうろう、誰袖と申すけいせい)
蔦屋重三郎殿ニ身代金
五百両ニ而可被身請候為
(蔦屋重三郎どのに身代金500両にて身請けさるべくそうろうため)
後日龜鏡仍而如件
(ごじつのききょう。よってくだんのごとし)
安政九年(1780年)※以下略
【意訳】
大文字屋で抱えている誰袖という遊女について、蔦屋重三郎殿が身代金500両で身請けすることを許可します。後日の証拠とするため、このようになったことを書き記しておきます。
【単語解説】
- 傾城(けいせい):遊女のこと。城を傾けるほど財産を貢いでしまう魅力があるため。
- 与(と):単語をつなぐ(〜と〜)意味や、「と申す」などの意味にも用いる。
- 而(〜て):しこうして。ここでは「ニ而(にて)」と用いている。
- 可被(さるべく):されるべく。被に続くことをされる。
- 亀鏡(ききょう):証拠。龜は亀の旧字。
- 仍而如件(よりてくだんのごとし):よって、このようになりました。文章の〆に用いる。
……と、こんな具合になります。
当時、死にかけで意識が朦朧としていたであろう初代•大文字屋市兵衛の手をとって、無理やり遺言書を書かせた誰袖。
蔦重「あァ言うのが、旦那に毒を盛ったりするんだろうな……」
まったくもって、恐ろしい子ですね!
