キンキン野郎と濡れ手に粟餅…【大河べらぼう】2月9日放送の振り返り&掘り下げ解説:4ページ目
鱗剥がれた『節用集』重版事件
安永4年(1775年)に恋川春町『金々先生栄花夢』を刊行し、黄表紙ジャンルのパイオニアとなった鱗の旦那。しかし手代の徳兵衛が『節用集』の重版に手を染めてしまいます。
大阪の柏原屋与左衛門と村上伊兵衛が板株(版権)を持っていた『早引節用集』をパクって『新増節用集』と銘打ち売り出していました。
劇中で「摺り損じを屑買いに出すより、厠の紙にした方が得だ」と言っていたのは、屑買い(リサイクル業者)へ摺り損じを出して発覚するのを恐れていたのです。
実際のところ、摺り損じを屑買いに出した金額と厠の紙を別に買うのと、比べてみたいですね。
この重版(偽板)事件によって版木もろもろは押収され、訴訟の結果きつい判決が下されました。
・徳兵衛:家財欠所(全財産没収)&江戸十里四方の所払い(江戸城から半径20キロ圏内から追放)
・孫兵衛:急度叱(厳重注意)&過料鳥目20貫文(罰金刑)
さらに旗本某家に仕える用人が主君の重宝を質入れ。孫兵衛がこれを仲介したことが発覚し、江戸所払いとなってしまいます。
孫兵衛が江戸に戻ることを赦されたのは安永10年(1781年)頃。もはやかつての勢いはなく、かつて膝を屈せしめた蔦重の下風に立たされるのでした。
第7回放送「好機到来『籬(まがき)の花』」
蔦重(横浜流星)は今の倍売れる細見を作れば、地本問屋仲間に参入できる約束を取り付ける。しかし西村屋(西村まさ彦)と小泉忠五郎(芹澤興人)が反発し、阻もうとする。
※NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。
目を輝かせながら青本の復活を語り合った鱗の旦那を出し抜き、地本問屋への道を一歩進んだ蔦重。しかし西村屋と小泉忠五郎がこれを許しません。
今の倍売れる吉原細見を作り出すにはどうすれば……次週のサブタイトル吉原細見『籬(まがき)の花』には、どんな工夫がなされているのでしょうか。
そして鱗の旦那と語り合った「キンキン野郎の物語(たぶん『金々先生栄花夢』)」は完成するのでしょうか。
悩みながらも着実に努力と前進を続ける姿を、これからも応援していきたいですね!
