江戸時代、吉原遊廓で活躍した「男芸者」とは?『吉原細見五葉松』よりその顔ぶれを紹介【大河べらぼう】:3ページ目
- 荻江藤兵衛(おぎえ とうべゑ)
※喜多川歌麿の浮世絵「青楼仁和嘉女芸者之部 浜音頭里の賑ひ」にその名がありました。
女性たちの名前に交じって一人名前があること、絵も踊る三人の女性を後ろから大きな蛸がのぞく構図であること。これらの特徴から、好色な印象を受けます。
- 荻江藤治(おぎえ とうじ)
※詳細不明。荻江藤兵衛と同門なのは確かでしょう。
- 荻江松蔵(おぎえ まつぞう)
※喜多川歌麿の浮世絵「荻江松蔵 峰 いと」にその姿が描かれています。
- 荻江藤三(おぎえ とうぞう)
- 荻江藤蔵(おぎえ ふじぞう)
※それぞれ詳細不明。読みはあえて違いを出しましたが、もしかしたら同一人物の表記ゆれかも知れません。
- 荻江文三(おぎえ ぶんぞう)
※鳥居清長の浮世絵「青楼仁和嘉尽 京町二丁目」に三弦(三味線)荻江文三 と記されています。
- 竹本力太夫(たけもと りきだゆう)
※義太夫の祖として有名な竹本義太夫の一門でしょう。
- 長門万里(ながと ばんり)
※幇間(ほうかん、太鼓持ち)で、戯作者・社楽斎万里としても活動。黄表紙『大通一寸廓茶番』『島台目正月』などが伝わります。
- 野沢栄治(のざわ えいじ)
※詳細不明。世話人の野沢平治と一族か、あるいは同一人物(誤記)でしょうか。
- 大坂屋五丁(おおさかや ごちょう)
※詳細不明。漢字表記は五町とも。大坂出身と思われます。
- 大薩摩目吉(おおざつま めきち)
※詳細不明。古浄瑠璃「大薩摩(おおざつまぶし)」の太夫か。大薩摩の読みは「おおざつま」です。
- 市川長二(いちかわ ちょうじ)
※詳細不明。
- 三味子利八(しゃみす りはち)
※幇間。詳細な事績などは不明。
- こんぱる平吉(金春?へいきち)
※詳細不明。能楽の金春流と何か関係があるのでしょうか。
- 福舛屋嘉吉(ふくますや かきち)
※詳細不明。
- 惣藝者 竹本岩太夫(たけもと いわだゆう)
※芸者たちの総責任者でした。やはり竹本義太夫の一門でしょう。
- 世話役 野沢平治(のざわ へいじ)
※芸者たちを世話(手配など)する担当者。先ほどの野沢栄治とは、どういう関係なのか気になります。
終わりに
今回は蔦屋重三郎『吉原細見五葉松』に名前のあった男芸者たちを紹介しました。
男芸者と聞くと幇間や陰間を連想しがちですが、三味線や唄などの芸をもって宴席を盛り上げる者も多くいたようです。
果たしてNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」にも、彼らは登場するのでしょうか。今から楽しみにしています。
※参考文献: