大河ドラマ「光る君へ」推しキャラ5選、名場面5選など…1年間を振り返りレビュー:2ページ目
1年間道長を追いかけた感想
最初は「ぼんやりしているけど、これが巨傑に大化けしていくのだろうな」と期待していました。
しかし回が進むごとに「もしかしてコヤツ、ただひたすらまひろが好きなだけのボンクラなのではないか?」疑惑が浮上。
そのモヤモヤが膨れ上がっていく中、藤原実資(秋山竜次)から諫言されて疑惑が確信へと変わってしまいます。
「左大臣殿には、民の幸せどころか民の顔すら見えてはいまい」
……でしょうね。かつて直秀(毎熊克哉)らを亡くして、泣いていたまひろの思想を借りて「民の幸せ」と言ってみたところで、幸せの概念すら分かっていなかったのではないでしょうか。
身分のない人など人とも思われず、地べたを這いずる虫けらも同然に死に殺されていった時代。
腹いっぱい食えて、暑さ寒さをしのげて、野犬や盗賊に襲われる心配もない。
そんな現代では当たり前に思えることを夢に見ながら、何もかも収奪されて、ゴミクズのように淘汰される。
そんな庶民の苦しみや悲しみを、あの道長は理解できない。疫病の場面だって、ひたすらまひろの心配だけ。
後の善政?そんなものは、すべてまひろ向けのパフォーマンスに過ぎません。
「この世のすべてを手に入れよう。お前の心をつかむために」
ひたすらそれだけ。しかしただ一人欲しかった肝心のまひろに捨てられてしまい、失意のうちに最期を迎える哀れな姿は、確かに「光る君」と通じるものを感じました。