実は日本刀より圧倒的に優秀だった「槍」!戦国時代、武士の戦闘スタイルを変貌させるきっかけにも:2ページ目
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戦闘スタイルの変貌
槍の利点は、先に述べた通りそのリーチの長さと間合いの広さ、そして用途の幅広さです。
「長いと使いにくいんじゃない?」と思われるかも知れませんが、柄を持つ位置を短くすることで近接戦闘にも対応できました。
また槍は、特に集団戦に適していました。集団戦法が中心となった戦国時代には、槍集団が槍をズラリと前面に並べて槍ぶすまを作り、騎馬武者の突撃を阻止するという戦法が採用されています。
単純な突撃では槍ぶすまを破れなくなったことから、鉄砲という飛び道具が必要になったという事情もありました。
戦国時代は銃が発達して、武士の戦闘スタイルも大きく様変わりしました。しかしその大きなきっかけのひとつが、最も古い武器「槍」だったというのは面白いですね。
当時の槍部隊の重要性は、上杉軍の編成を見ると理解できます。なんと槍部隊は全体の三分の二を占め、刀中心の遊軍は全体の一割に過ぎなかったのです。
これは 他の軍勢の構成も似たりよったりで、槍こそ合戦の主力兵器だったことが分かるでしょう。
また、戦闘以外でも槍を二本並べて物品や人を運搬したり、複数の槍を使って壁を作ったり、所帯じみた使い方としては物干し竿代わりにするなどの用途もありました。
さすがに物干し竿までいくと「本当にその使い方でいいの?」という感じもしますが、とにかく使い道は無限だったのです。
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参考資料:歴史の謎研究会『舞台裏から歴史を読む雑学で日本全史』2022年、株式会社青春出版社
画像:photoAC,Wikipedia
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