男娼ガイドブックに男色小説…実は生粋の男色家だった発明家・平賀源内による男色系作品の数々【後編】:2ページ目
若い男娼「陰間」を置く陰間茶屋のガイドブックの著書も
平賀源内は、『根南志倶佐』のほかにも男色にまつわる著書を出しています。
ひとつは『江戸男色細見』。
当時、「陰間(かげま)」と呼ばれる、男性専門に体を売る若い男娼が流行っていたのですが、その陰間を置いているのが陰間茶屋でした。
芝神明門前(現在の港区の芝大神宮)、湯島天神門前、芳町(現在の中央区日本橋人形町のあたり)は、江戸の三大男色地帯と呼ばれ、この陰間茶屋が集まっていました。
平賀源内も足繁く通っていたそうで、『江戸男色細見』は一軒ごとに陰間茶屋を詳しく説明をした、いわゆるガイドブックのようなものでした。
また、風来山人というペンネームで『乱菊穴捜(らんぎくあなさがし)』という滑稽本も出しています。実は狐の化身である絶世の美少年と一緒に過ごす夢のような日々を過ごすというような小説だそうです。
来年の大河ドラマ「べらぼう」の主人公蔦屋重三郎に頼まれて、江戸吉原のガイドブック『細見嗚呼御江戸(さいけんああおえど)』の序文を書いた平賀源内。
源内の男色ぶりを知っている江戸っ子たちは、「男色家なのに吉原で女色も嗜むのか!?」と江戸っ子たちが驚いたのも無理はありません。
その後、源内は、安永8年(1779年)、殺傷事件を起こし投獄されて、江戸市中を騒然とさせました。そして伝馬町の牢内で破傷風に病死したといわれています。
しかしながら、事件の動機や死因については不明な部分が多く、実は生き延びて天寿を全うしたなど、さまざまな説があり、常に人を驚かせ続けた天才は最後まで世間を驚かせつつこの世を去っていったのでした。