夜這いで危機一髪!”神の斎垣”を越えた紫式部の弟・藤原惟規のエピソード【光る君へ】:2ページ目
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惟規の歌才に感心
選子内親王の計らいによって無事に解放された惟規。お礼の代わりと言っては何ですが、こんな歌を詠みました。
神垣(かむがき)は 木の丸殿(このまるどの)に あらねども
名のりをせねば 人咎めけり【意訳】ここは木の丸殿ではないのに、名乗らないと家主に咎められてしまうのですね。
木の丸殿(朝倉橘広庭宮)とは天智天皇の隠れ家。訪れる者に対して、必ず先に名乗らせていたという故事がありました。
転じて「名乗らなくてすみません。ちょっと訳があったものでして……」というメッセージになります。
故事を踏まえて歌を詠んだことについて、選子内親王はたいそう感心したのでした。
終わりに
かくして難を逃れた?惟規。捕まらなくてよかったですね。
何かとボンクラ扱いされがちな惟規ですが、こうした機転はちゃんと利きました。
ちなみに惟規が神の斎垣を越えた相手についてはハッキリしませんが、一説には中将の君(ちゅうじょうのきみ)ではないかと考えられています。
※紫式部が彼女の手紙を入手していることから、惟規と恋仲であった可能性があるとか。
第34回放送「中宮の涙」では、このシーンが描かれるような予告があったので、楽しみにしたいですね!
※参考文献:
- 『平安文学研究 第66輯』平安文学研究会、1981年11月
トップ画像 右:大河ドラマ「光る君へ」公式サイトより
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