『桃太郎』といえば昔話、昔話といえば『桃太郎』。日本の昔話の代表といっても過言ではないほど有名なのが『桃太郎』です。
桃から生まれた桃太郎が、犬・猿・キジをお供に鬼ヶ島へ旅して、鬼退治をする…。
そんなあらすじも説明の必要がないほどですね。ところが、このあらすじとは別パターンの桃太郎が存在することをご存じですか?
違うのは出だしの「桃から生まれた」の部分です。
最も有名なのは「川で洗濯をしていたおばあさんが、流れてきた桃を拾い、それを割ったら中から赤ちゃんが誕生!」というバージョンです。
ところが、この他に
「川で拾った桃を、おばあさんとおじいさんが食べて若返り、夫婦の間に赤ちゃんが誕生!」
という展開の桃太郎が存在するのです。
昔話の研究者や民俗学者の間では、前者が「果生型」、後者が「回春型」と呼ばれているそうです。それにしても、なぜ「ふたつの桃太郎」が存在するのでしょうか? なぜ現在は「桃から生まれた」パターンのみが知られているのでしょうか?
また、テレビで何度か紹介された「“桃から生まれた桃太郎”は明治時代に作り変えられたもの」という説が話題になりました。しかし、その他に「“桃から生まれた桃太郎”は江戸時代以前から存在していた」という説もあることをご存じですか?
日本一有名な昔話『桃太郎』の謎に、今回は「昔話はどのように伝えられてきたか」という視点から迫っていきます。