【光る君へ】親友・紫式部のイタズラにぷんぷん!藤原彰子に仕えた『宰相の君 (藤原豊子)』とはどんな女性?:2ページ目
二十六日、御薫物(おたきもの)あはせはてて、人々にもくばらせたまふ。まろがしゐたる人々、あまたつどひゐたり。
上よりおるる途に、弁の宰相の君の戸口をさしのぞきたれば、昼寝したまへるほどなりけり。萩、紫苑(しおん)、いろいろの衣に、濃きがうちめ心ことなるを上に着て、顔はひき入れて、硯(すずり)の筥(はこ)にまくらして、臥(ふ)したまへる額つき、いとらうたげになまめかし。絵にかきたるものの姫君の心地すれば、口おほひを引きやりて、「物語の女の心地もしたまへるかな」といふに、見あけて、「もの狂ほしの御さまや。寝たる人を心なくおどろかすものか」とて、少し起きあがりたまへる顔の、うち赤みたまへるなど、こまかにをかしうこそはべりしか。
おほかたもよき人の、をりからに、またこよなくまさるわざなりけり。※『紫式部日記』より
……長いのでかいつまんで話すと、要するに昼寝していた豊子(弁の宰相の君)の寝顔を除き込んだ紫式部が「まぁ可愛い。おとぎ話のお姫様みたい(物語の女の心地もしたまへるかな)♡」と呟いたところ、豊子は慌てて「貴女、頭おかしいんじゃないの(もの狂ほしの御さまや……)!?」と怒ったけど、そんなお顔も可愛い♡というエピソードです。
常識人(というか御局様気質)?の紫式部にしては、かなり大胆なことをしでかしています。
しかし思わずそうしたくなってしまう可愛さと、それを許してしまう豊子の優しさがなせる業だったのでしょう。
「もうっ、謝るまで許さないんだからっ!」
仕事は出来るけど親しみやすく、同僚や部下たちから慕われる。そんな人望厚い愛されキャラだったのかも知れませんね。