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幕末の志士・坂本龍馬は詐欺をも厭わなかった!?大きく書き換えられつつある龍馬の人物像

幕末の志士・坂本龍馬は詐欺をも厭わなかった!?大きく書き換えられつつある龍馬の人物像:3ページ目

いろは丸事件の詐術

ちなみに海援隊といえば、今の時代から見れば詐欺と言われても仕方がないようなハッタリについても見逃せません。海援隊がらみでトラブルが起きた際、彼はヒーローにあるまじきペテンでその場を凌いでいます。

慶応三年四月、海援隊が借りていた「いろは丸」が、現在の岡山県笠岡諸島で事故を起こして沈没します。紀州藩(和歌山県)の軍艦・明光丸と衝突したのです。

この時、龍馬は国際法である万国公法を持ち出して紀州藩の過失を追及しました。

彼によると、いろは丸には八万両(現在の価値で約164億円)相当の銃火器や金塊が搭載されていました。それが明光丸の過失で沈んだので、国際法に基づいてきちんと賠償してほしいと主張したのです。

実際にはいろは丸側の過失もあったのですが、紀州藩は国際法に疎く、彼の巧みな弁舌に翻弄されて同額の賠償金を支払いました。

しかし、この時龍馬は嘘をついていたことが今では明らかになっています。1980年代にいろは丸の船体が海底で発見され、潜水調査の結果、龍馬が主張した銃火器などは確認されなかったのです。

幕末のヒーローとして名高い坂本龍馬は、時に詐術を用いることも厭わない人物だったようです。

参考資料:日本史の謎検証委員会・編『図解 最新研究でここまでわかった日本史人物通説のウソ』彩図社・2022年

画像:photoAC

 

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