紫式部が書いた長編小説『源氏物語』は平安文学の最高傑作として知られ、千年の歳月を経て世界中の人々に愛されています。
作中には様々な女性が登場して物語を彩りますが、その中でも笑われ役として知られる三人がこちら。
- 末摘花(すえつむはな)
- 近江君(おうみのきみ)
- 源典侍(げんのないしのすけ)
今回はこの源典侍と、そのモデルという説がある女性について紹介したいと思います。
老いてなお色好み
源典侍とは桐壺帝(きりつぼてい。架空の天皇陛下)に典侍(ないしのすけ。内侍所の次官)として仕えた女房で、源の姓が示すとおり元は皇族につながるやんごとなき女性でした。
琵琶を弾くのが得意で、美貌と才知に恵まれていたものの、老いてなお若作りで色好みなのが玉に瑕です。
光源氏からのアプローチに本気で応じたり、光源氏との仲を吹聴したりなど、なかなかの曲者でした。
ちなみに推定年齢は初登場時点で50代後半。その後も10数年ほど70歳前後まで生き永らえ、光源氏から
「よい人は早く亡くなるのに、彼女のような人は生き永らえるのだなぁ(意訳)」
などとぼやかれています。