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江戸時代の参勤交代制度の“真の目的“とは?「各藩の経済力を削ぐため」は俗説で40年前に否定されていた【前編】

江戸時代の参勤交代制度の“真の目的“とは?「各藩の経済力を削ぐため」は俗説で40年前に否定されていた【前編】:2ページ目

東大も否定

実は、参勤交代という制度には「幕府に逆らえないように各藩の経済を疲弊させるため」という目的はありませんでした。

このように書くと奇をてらった説のように感じられるかも知れませんが、実際、1983(昭和58)年の東京大学の「歴史」の入試問題でも次のように書かれています。

参勤交代が、大名の財政に大きな負担となり、その軍事力を低下させる役割を果たしたこと、反面、都市や交通が発展する一因となったことは、しばしば指摘されるところである。しかし、これは参勤交代の制度がもたらした結果であって、この制度が設けられた理由とは考えられない。どうして幕府は、この制度を設けたのか。戦国末期以来の政治や社会の動きを念頭において、5行(1行30字)以内で説明せよ。

参勤交代は確かに各藩に経済的負担をもたらし、軍事力の低下を招きました。その一方で、都市交通の受ける経済的便益も大きくなったわけです。

しかし上記の引用からも分かる通り、既に40年前に、それらが「この制度が設けられた理由とは考えられない」と東大もはっきり述べているわけです。

経済的負担・軍事力低下・経済発展はあくまでも副次的な「結果」でしかありませんでした。いわば偶然にそういう結果が生じたというだけです。

3ページ目 徳川家光も「規模縮小」を求める

 

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