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伝説の陰陽師・安倍晴明は地味な公務員!まるで”魔法使い”のような呪術の逸話は全てフィクション【後編】

伝説の陰陽師・安倍晴明は地味な公務員!まるで”魔法使い”のような呪術の逸話は全てフィクション【後編】:3ページ目

始末書を書かされることも

実は、晴明が陰陽師として花山天皇藤原道長につかえるようになったのは、40歳になってからです。

それまでの晴明は陰陽寮の学生に過ぎず、天皇や上級貴族のそばで活躍できる身分ではありませんでした。

その後がんばって陰陽師の大家になったとはいえ、40歳にしてまだ学生というのはかなり遅い出世です。

つまり、現在エンタメ作品で描かれているように、若くて美男子の晴明が天皇や貴族の間で陰陽師として活躍するという話は完全なフィクションだということです。

それに出世して陰陽師の大家になったといっても、彼の身分はあくまでも「公務員」でした。

こんな出来事がありました。988(永延2)年に天文の異変が起こり、48歳の晴明は祈禱の呪法を命じられました。ところが、年齢のせいもあったのかすぐに取りかからなかったため始末書を書かせられているのです。

68歳でまだ勤務していることには頭が下がりますが、史実としての彼の実像を見ていくと、あまり陰陽師の大家としての威厳は感じられません。

もし彼が、現代の小説・漫画・映画などでの自分自身の描写を見たらどう思うでしょうか。

日本を代表する魔法使いとしてヒーローのように描かれているのを嬉しく感じる反面、「俺、本当はそんなにすごい奴じゃないんだけどな」と苦笑いするかも知れませんね。

参考資料:
歴史探求楽会・編『源氏物語と紫式部ドラマが10倍楽しくなる本』(プレジデント社・2023年)
日本歴史楽会『あなたの歴史知識はもう古い!変わる日本史』(宝島社・2014年)

 

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