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なんと「歌」で夫婦ゲンカしていた紫式部と藤原宣孝!勝者はどっち?式部の本名に関する斬新な説も紹介

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紫式部、タンカを切る

宣孝はしばらく経ってから次のように返しました。

 東風(こちかぜ)に解くるばかりを底見ゆる 石間の水は絶えば絶えなむ
 (春の東風で解けるほどの氷ならば、底が見える石間の水は、絶えるなら絶えればいい)

と返してきました。「打ち解けていたのは私だけで、あなたの愛情は底が見えるほど浅かったのですね。そんな関係であれば、絶えるなら絶えてしまってもいい」という意味だと思われます。

これに加えて、宣孝は「今はものも聞こえじ」(もう何も言わないよ)と伝えてきました。

見ている方もハラハラしてきますね。それでも式部は慌てることなく、こうタンカを切りました。

 言ひ絶えば さこそは絶えめ なにかその みはらの池を 包みしもせむ
 (絶交すると言うのなら、そうしましょう。あなたが腹を立てていたって、私は慎むことはありません)

さすがにこれには宣孝も慌てたようで、しばらく時間が経ってから、

 たけからぬ 人かずなみは わきかへり みはらの池に 立てとかひなし
 (立派でもなく、人並みでもない私が、あなたに腹を立てても勝ち目はありませんね)

と、降参したのでした。二人の喧嘩は、紫式部の勝利で幕を下ろしたのです。

平安時代の貴族たちは、こんな美しい言葉と歌のやり取りで夫婦喧嘩までしていたのか……と驚かされる一方で、紫式部という女性は教養があるだけではなく、豪胆さも持ち合わせた人だったことが分かりますね。

参考資料:
歴史探求楽会・編『源氏物語と紫式部 ドラマが10倍楽しくなる本』(プレジデント社・2023年)

トップ画像:大河ドラマ「光る君へ」公式サイトより

 

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