局中法度はフィクション!新選組の”鉄の掟”、実はそんなに厳しくなかった。隊規の実態を探る:2ページ目
虚実交えたフィクション
これは、今では答えがはっきりしています。新撰組の隊規が局中法度と呼ばれ、私闘禁止のルールが追加された形で語り継がれるようになった理由は、作家・子母澤寛の執筆した小説『新選組始末記』の影響です。
子母澤は昭和3年(1928)に出版したこの小説の中で、禁令を局中法度と名付け、本来は存在しなかった私闘禁止の項目を加えたのでした。
フィクションの世界で子母澤がこうした変更を行ったのは、軍中法度という法規を参考にしたからだとされています。
軍中法度とは、禁門の変の後で、元治元年(1864)に新撰組内部で定められた戦時用の隊規のことで、ここに私闘禁止の条項が含まれているのです。
おそらく、子母澤はこの軍中法度を参考にして局中法度という名称を創作したのでしょう。そして小説の内容を面白くするために、ここに私闘禁止の条項も加えたのです。
そして目論見通りこの小説が大ヒットしたことで、局中法度の名前も世間に広く知られるようになったのでしょう。
まるきり作り話ではないものの、史実とフィクションが程よく混ぜ合わせられたことから、かえって真実味が増して後世にまことしやかに伝えられたんですね。