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字が上手すぎて愚痴や詫び状が”国宝”として後世に残ってしまった平安貴族・藤原佐理という男

字が上手すぎて愚痴や詫び状が”国宝”として後世に残ってしまった平安貴族・藤原佐理という男

書はすばらしいけれど宮仕えは……

藤原佐理の筆跡は、流麗で躍動感があることが特徴。書の腕前は一流で、書が宋の皇帝に献上されたり、関白太政大臣辞任の上表文の清書を務めたりしています。特に、上表文の執筆は能書家にとって重要な活動でした。

しかし、宮仕えにはあまり向いていなかったようです。お酒が好きで、いいかげんな性格だったとか。『大鏡』には、「懈怠者、少しは如泥人とも」と書かれています。現代語では、「怠けもの、愚図」といったところです。

残っている書のほとんどが詫び状!?

佐理の書はたった6点のみ残っています。しかし、そのうち5点が、なんと詫び状や愚痴なのです。自身の失敗などがわかってしまうわけですから、本来ならば残っていてほしくない内容ですが、書が美しかったがゆえに残ってしまったのです。

たとえば有名な佐理の書に、国宝の「離洛帖(りらくじょう)」があります。

これは、彼が太宰府に赴任するときに摂政・藤原道隆に挨拶するのを忘れたことを詫び、甥の藤原誠信(さねのぶ)に取りなしを頼む内容です。

いかがでしたか?この記事が、みなさんが少しでも日本文化や歴史の面白さに興味を持つきっかけになれば嬉しいです。

 

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