紫式部は”あの男”と一夜をともにしたの?してないの?想いを「朝顔」に託した若き日の切ない恋愛エピソード:3ページ目
セックスした説・していない説
まず、セックスした説です。この説によると、式部が男に送ったという朝顔は、実際には式部の「顔」を表しています。
夜に式部のもとに忍んでいって、事をなして明け方に帰っていった男がいました。そして、男が帰るのを呆然と見送るばかりだった式部。その心情を、彼女は朝顔に託したということです。
またもうひとつが、セックスしていない説です。
この歌に登場する男とは、後に彼女の夫となる藤原宣孝のこと。そして「おぼおぼしきこと」はセックスとは限らず、部屋を覗き見たとか、部屋に入り込んできたという程度のものだったのではないか―というものです。
もちろん、真実がどうだったのかは知りようがありません。いずれにせよ、紫式部にもまた、若い頃にこのような形の恋愛体験があったのでしょう。
大河ドラマ『光る君へ』では、おそらくセックスに関する事柄はあからさまには描かれないでしょう。しかしこのエピソードは避けては通れないと思いますので、どう描かれるか注目ですね。案外、方違えで泊まっていくのが藤原道長になるのかも。
参考資料:
歴史探求楽会・編『源氏物語と紫式部 ドラマが10倍楽しくなる本』(プレジデント社・2023年)
トップ画像: 源氏物語絵巻より(国立国会図書館)