10代の少年に愛情……源氏物語の主人公・光源氏、実は男性も恋愛対象だった![後編]【光る君へ】:2ページ目
少年に「せめてお前だけでも私を捨てないでくれ」
自分に冷たい女性・空蝉よりも、一生懸命に尽くしてくれ、隣に寝て寄り添い、自分の嘆きをうっとりと瞳を潤ませながら聞いてくれる小君。
さぞかしい、この少年を「あぁ…愛おしい、愛おしい」と感じたのを察することができます。役に立たなかったことを悔いて涙を流す小君の手や髪をさすりつつ、源氏も少年への想いを募らせていく……露骨な性愛の描写はないものの、そんな艶っぽい二人が目に浮かぶ場面なのです。
見目麗しい源氏に「本当はお前の姉さんとは、彼女が結婚する前から深い仲だった」といわれ「こんなに嫌われるなんて生きてけないくらい辛い。お前は私を捨てないでおくれ」とかき口説かれる、まだ年端のいかない少年。
憧れてやまない美しい光源氏の体温と心臓の鼓動をすぐそばで感じ、耳元で「お前は私を捨てないでおくれ」と囁かれたら、役に立たなかった申し訳なさとともにうっとりとその言葉に酔い、情愛が芽生えたのではないでしょうか。しかし、そのまま何もせずに源氏は帰ってしまいます。
「この子は、いといとほしくさうざうしと思ふ。」
小君は光源氏に撫でさすられる以上のより深い関係を期待したと察することができます。去っていく源氏に、小君は「さうざうし=物足りない」と感じるのでした。