あまりにもブラックすぎ…身分差別や強制入隊、突然のクビ…美化されすぎた「奇兵隊」の真実:2ページ目
身分差別や強制もあった
まず奇兵隊では、武士以外の人は「匹夫(ひっぷ)」と呼ばれていたそうです。ちなみに匹夫とは、身分が低い男性のことや、教養のない人のことを指す言葉です。
また、奇兵隊の隊規では、隊士たちは着るものを身分ごとに区別されていました。使える生地や色が身分によって細かく分類されていたのです。
また「奇兵隊は四民平等」というイメージからは、隊士たちは皆、志を持って志願したかのように感じるかも知れません。つまり隊士たちは身分は違えど、志を同じうする者同士が平等に結束した部隊だったのだ……ということですね。
しかしこれも間違いで、奇兵隊のメンバーは純粋に応募・志願した者ばかりではありませんでした。中には無理やり参加させられた隊士もいたのです。
奇兵隊の結成時、実は思ったほど隊士は集まりませんでした。そこで長州藩は、農家の次男坊や三男坊など、家を継ぐことができずあぶれてしまった立場の若者たちに目をつけます。彼らは強引に徴用されたり、あるいは脅されるなどして隊に参加させられました。
それだけならまだしも、さらに集落の乱暴者や鼻つまみ者などが、軽い気持ちで奇兵隊に入ったケースも少なくありませんでした。
こんな有様だったので、隊では訓練に耐えられる脱走する者も多くいたのです。