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商人に利息をつけてお金を貸す寺院!?古代日本の商人と寺院の関係【日本霊異記】

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磐嶋は、敦賀で買いつけた商品を船に乗せ、琵琶湖を上って帰途についたところ、突然急病にかかってしまいます。そこで船を留め馬を借りて帰ろうとして、琵琶湖西岸を走る北陸道を南下し山代(山背)の宇治橋に至ると不思議な風貌の男たちに出会いました。

この男たちは、実は閻羅王(閻魔王)の使いの鬼たち。冥界から磐嶋を召しに来たといいます。

ところが、そこへ四天王の使いが現れて

「磐嶋は寺の銭を借りて商いをしているので、閻羅王には召されないので、勘弁してやって欲しい」

と懇願します。

磐嶋もそこで、使いの鬼たちをたっぷり御馳走し、ようやく冥界に行くことを放免してもらったのだといいます。

このように、古代の商人たちは、お寺から資本金を借りて、貿易港に出かけて商品を仕入れ、都でそれを売って利益を得ていたようです。

それにしても、鬼に賄賂を贈り、死期を免れる磐嶋も、なかなか強かな商人ですね。その後、磐嶋は90歳以上まで、長生きしたようです。

 

参考

  • 中田 祝夫『日本霊異記(中) 全訳注』(1979 講談社学術文庫
  • 藤野 道生『奈良朝時代における修多羅衆私考』( 1977 弘前大学人文学部)
 

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