Japaaan読者の皆さんこんにちは。ライターの小山桜子です。ロシアウクライナ戦争によって世界情勢が不安定な昨今。
自国の文化に自信を持って世界と関わっていくために、前回に引き続き、今回は明治の美術教育者兼活動家の岡倉天心の「茶の本」をご紹介します。
前回の記事岡倉天心「茶の本」に学ぶ戦争と平和、日本人の誇り【前編】
Japaaan読者の皆さんこんにちは。ライターの小山桜子です。皆さんは海外への憧れ、ありますよね?例えばヨーロッパの美しい景観、素晴らしい絵画、歴史的建造物。昨今は韓国ブームもありますね。…
かつて日本は「野蛮」と言われた
さて、現代では“tea ceremony”(ティーセレモニー)として世界中に愛される茶道(茶の湯)ですが、天心の「茶の本」によるとかつてはそうではなかったようです。
彼の激情のこもった茶の本 本文(青空文庫「茶の本」岡倉覚三/村岡博訳)を以下に引用します。
「一般の西洋人は、茶の湯を見て、東洋の珍奇、稚気をなしている千百の奇癖のまたの例に過ぎないと思って、袖の下で笑っているであろう。西洋人は、日本が平和な文芸にふけっていた間は、野蛮国と見なしていたものである。」
つまりかつて日本が茶の湯などの日本文化を育んでいた間には、西欧諸国から野蛮国と呼ばれていたというのです。
生きる術を説く
続きを見てみましょう。
「しかるに満州の戦場に大々的殺戮を行ない始めてから文明国と呼んでいる。近ごろ武士道――わが兵士に喜び勇んで身を捨てさせる死の術――について盛んに論評されてきた。」
ところが明治維新以降、富国強兵で軍事強化しいよいよ日清・日露戦争に乗り出した事で、欧米列強に一目置かれる存在になったというのです。しかし、その状況をよく思わない天心は戦争の対極に日本文化の茶道を置き、話を続けます。