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見送り方で問われる度量。戦国大名・藤堂高虎が家臣のために開いた送別会がこちら

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終わりに

以上は『古今記聞』が伝える藤堂高虎のエピソードですが、去り行く家臣たちにここまで寛大な態度をとったのはなぜでしょうか。

去りたがっている者を無理に引き留めたところで不満を溜めるばかり、奉公にも熱が入らなそうです。それなら一度外に出して(再仕官なり浪人なり)苦労させることで、「やっぱり藤堂家の方がいい」と気づく可能性があります。

そして出戻ってきた者を以前と同じ禄高で召し抱えれば、感謝の気持ちでより一層奉公に励んでくれることでしょう。

(逆に、出戻りのペナルティにいくらか知行を減らしたところで大して財政も潤わず、自業自得とは言えモチベーションの低下は避けられません)

また、出たまま帰って来なくても「藤堂の殿様は太っ腹だ」という評判につながりますから、餞別の太刀はいわば宣伝広告費。中長期的にしっかり回収可能です。

目先の損得や感情にとらわれず、快く部下を送り出して再び迎え入れた藤堂高虎の度量は、現代ビジネスにも応用可能かも知れません。

※参考文献:

  • 藤田達生『江戸時代の設計者 異能の武将・藤堂高虎』講談社現代新書、2006年3月
 

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